妊娠前、妊娠中の知識

妊娠初期に気をつけること|食べ物や旅行やお風呂や夫婦生活は大丈夫?

2016/10/02

「妊娠初期っていつからいつまでなの?」

「妊娠初期の症状はどの様なものがあるの?」

「妊娠初期に食べてはいけない食べ物は何?」

「妊娠初期は旅行に行くのはまずいのかな?」

「妊娠初期の夫婦生活はどうしたらいいの?」

なんてあなたは思ってはいませんか?
初めての妊娠だと何に気をつけたらいいのか分からないものです。
でも知っていてほしいのは今までと同じような生活をしていると赤ちゃんやあなたの体に大きな負担がかかる可能性があるという事です。
今回は妊娠初期に気をつけることということでまとめてみましたのでどうぞご覧ください。

妊娠初期の症状とは

妊娠初期症状とは、妊娠0週から妊娠15週までの妊娠初期の期間にあらわれる身体的な諸症状をいいます。
つわり(悪阻)と呼ばれる食欲不振や吐き気、嘔吐が一般的によく見られる症状ですか、頭痛、身体の怠さ、熱っぽい感じなど風邪の症状や胸やお腹の張りや痛み、眠気や身体の怠さといった生理前の症状にも似ているために間違いやすいのです。
妊娠初期は「おりもの」が通常の粘りのあるものがさらさらとした液体状に変化します。    また、生理と似た出血(生理様出血)があることもあり、妊娠に気がつかない場合もあります。
妊娠によって、普段便秘しない方が便秘になる、または下痢になることもあります。

妊娠初期っていつからいつまでなの?

妊娠初期とは妊娠してからの期間によって分けられ、「妊娠2ヶ月〜4ヶ月(5〜15週)」の頃を妊娠初期、そして1ヶ月目(0〜4週)を妊娠超初期と言います。
最終月経の開始日を妊娠0週0日目(0w0d)として数えますので、正確にいえばこの時はまだ妊娠していません。
おおよそ2週目に排卵が始まるといわれていますので、そこで受精し、受精卵は分割を繰り返しながら3日ほどの時間をかけ子宮に移動します。
その後しばらくは子宮内を漂って、子宮体部に着床し、はじめて妊娠となります。
卵子がちょうど着床する頃には、妊娠3週目(3w0d)となっており、この超妊娠初期から身体や心理的な変化を感じることが増えていきます。

妊娠初期に気をつけること

通常であれば大丈夫な食品でも、妊娠中は免疫力が低下するため感染症や食中毒を起こすリスクが高くなります。

妊娠中に避ける食べ物

妊娠中に避けた方が良い食べ物を解説します。

生肉

生肉には「トキソプラズマ」という寄生虫が付着している可能性があります。
ほぼ全ての哺乳類、鳥類はこの寄生虫に感染する可能性があり、特に豚からの感染例が多く挙げられます。
トキソプラズマは感染者本人の症状はほとんどなく、まれに風邪のような症状が出ることやリンパ節が腫れることがあります。
妊娠中の女性がトキソプラズマに初めて感染した場合、生まれてくる赤ちゃんに「精神発達の遅れ」「視力障害」「脳性まひ」などの先天性障害を生じる可能性が10〜70%の確率で起きています。
トキソプラズマは67度以上の加熱によって死滅しますので、肉を食べる際には中心部分までしっかりと加熱するようにして下さい。
ちなみに猫もトキソプラズマが寄生していることが多いので、猫を飼っている場合は糞を触らない様にする、生肉を与えない様にするなどの注意が必要です。

生肉を食べると「O-157」に感染する危険もありますので、生肉を食べないこと基本とし、調理の際はしっかり加熱するようにしましょう。

生卵

卵の殻には「サルモネラ菌」が付着している可能性があります。
サルモネラ菌に感染して直接胎児に影響するというわけではありませんが、妊婦さんが食中毒になって嘔吐や下痢を引き起こした際、腸管が激しく蠕動して同時に子宮筋も収縮することが原因で流産に繋がる可能性があります。

生卵を食べないことはもちろんのこと、購入した卵にヒビがある場合はサルモネラ菌が繁殖している可能性が高く、加熱する場合でも食べないことをおすすめします。

生の魚介類

お刺身やお寿司などの生の魚を食べる際は、鮮度に関して安心できるものを選びましょう。
特に生の貝類は新鮮なものでないと食中毒を起こしやすく、生牡蠣などに存在する「ノロウイルス」は感染すると、ひどい嘔吐や下痢、腹痛とともに38℃以上の発熱を引き起こします。

妊娠中に好ましくない食べ物

妊娠中に食べてはいけない物ではないけれどある程度リスクがある食べ物を解説します。

かつおやマグロなど赤身の刺身

海の生態系の上位にいるかつおやマグロまたはクジラ、イルカなどの大型の魚は、エサとなる小型、中型の魚を食べるという食物連鎖を繰り返すことによって蓄積してく「水銀」、特に「メチル水銀」が多く含まれています。
こうした水銀を多く含む大型の魚を食べる際は沢山食べないことはもちろん、食べる頻度も控える様にしましょう。

メチル水銀を摂ると、どんな影響があるの?

妊娠期間中にメチル水銀を含む魚介類を大量に摂取すると、胎盤を通して胎児へメチル水銀が送られます。胎児は体内に取り込んだメチル水銀を排出する事が出来ません。
メチル水銀の影響を受けた胎児は、神経系の発達に影響が出るという報告があり、赤ちゃんが生まれた後に、音を聴いた際の反応が1/1000秒以下のレベルで遅れるなどの症状があげられています。
将来の社会生活に支障をきたす程の重篤なものではないと言われていますが、注意しておくことに越したことはありません。 妊娠中のマグロ摂取は「週に1回、80gまで」が望ましいとされています。
(参照 厚生労働省 「これからママになるあなたへ」)

ナチュラルチーズ

ナチュラルチーズ(加熱されていないチーズ)には「リステリア菌」という菌が存在します。
妊婦さんは妊娠していない人に比べて20倍も感染しやすいといわれている細菌です。
妊婦さんがリステリア菌に感染すると胎盤を通して赤ちゃんに感染すると早産や死産、新生児の髄膜炎・敗血症などの原因になる可能性が高いといわれています。
リステリア菌に感染した場合の症状は、インフルエンザの症状と似ており、早めに抗生物質を摂取することで、胎児への感染を防ぐ事が出来ます。
ナチュラルチーズ以外にも、ブルーチーズ、カマンベールチーズ、生ハムやスモークサーモン、パテなどにも注意が必要です。プロセスチーズは、複数のナチュラルチーズを加熱して溶かして作られていますので問題ありません。
リステリア菌は、低温や塩分濃度が高い環境にも強いので冷蔵庫で保管していても増殖します。
妊娠中はナチュラルチーズやスモークサーモンなどは避けましょう。

ヨウ素

ヨウ素(ヨード)は昆布や海藻類そして昆布エキスが入った調味料など、昆布が入った食べ物に多く含まれています。
長い期間、ヨウ素(ヨード)が胎児に取り込まれると甲状腺が腫れたり、甲状腺の機能低下が起こる可能性があるので、妊娠初期のヨウ素(ヨード)の過剰摂取は控えたほうが良いとされています。
妊娠初期を過ぎても、念のため過剰摂取は避けたほうがよいでしょう。

ひじき

ひじきに含まれているヒ素の量は、乾燥ひじき100gあたり総ヒ素量8.3 mg(有機ヒ素1.9mg、無機ヒ素6.3mg)含まれています。
ひじきは水に戻してから利用するものですし、戻した水にヒ素が流れ出すので実際にひじきに含まれるヒ素の量はさらに少なくなります。
ひじきに含まれているヒ素は微量であり問題はないという見解を出しています。
一日に乾燥ひじきを5g以上、毎日摂取し続けなければ大丈夫です。

玄米

ビタミンB1やビタミンEを含み、食物繊維が豊富で栄養満点、健康的なイメージのある玄米。
妊娠中に玄米を食べることで、血糖値の上昇を防ぐ効果に加えて便秘予防や体重増加を抑える効果があります。
玄米を摂ることのデメリットとして消化が悪いこと、残留農薬の心配や玄米に含まれている「アク」や「フィチン酸」という成分についての問題があります。
「アク」(灰汁)とは、植物が外敵から身を守るために持っている微量の毒のことを言います。その微毒を摂取すると、体は自然にそれらを解毒しようとします。
その際、多くのミネラルを消費してしまいます。「フィチン酸」についても解毒効果があるため、同じくミネラルを消費してしまうというデメリットがあるのです。
妊娠中はお腹の赤ちゃんを育むために多くのミネラルが必要になりますが、その大切なミネラルを解毒のために消費してしまうので、毎日、毎食ごとに玄米を食べるということはおすすめしません。
玄米を食べる際はよく洗うことと、消化吸収をよくする為に一晩浸水させると良いでしょう。にがり成分の入った天然塩を一合あたりにひとつまみ加えて炊くことでアク抜きの効果を高めることができます。
また、白米に混ぜて炊くのも気軽にできるのでいいと思います。
最近の食品については残留農薬や放射能汚染などの影響も気になるところです。食品の産地などはある程度は気にして購入する方が良いかもしれません。
しかし、食品に微量に含まれるヒ素や水銀などの重金属や残留農薬を恐れるあまり海藻やひじき、お魚を一切食べない事で起きる栄養素の偏りのほうが、妊婦さんやお腹の赤ちゃんにとって深刻な問題となります。

低脂肪ヨーグルト

体重の増加を気にする妊婦さんやダイエット中の方が選びがちな「低脂肪ヨーグルト」ですが、イギリスのニュースサイトが60,000人以上の妊婦を対象に2011年に行った研究によると「低脂肪ヨーグルトは、アレルギーから私たちを守る脂肪を取り除いてしまっている」というのです。
胎児の免疫システムをつくるのに乳製品の脂肪が助けている可能性があり、低脂肪のヨーグルトを食べていた妊婦は、「子供が喘息や花粉症にかかるリスクが非常に高い」ことが明らかになりました。
また低脂肪の乳製品を摂り続けることで不妊症のリスクが増し、無排卵性不妊性との関連も証明されています。

体重の増加を医師から指摘されている妊婦さんやダイエット中の方にとって、低脂肪ヨーグルトはプレーンヨーグルトよりもカロリーが低くお腹の調子を整える乳酸菌やカルシウムを摂ることができる魅力的な食品だと思います。
もちろん、大量摂取しなければ問題はありませんが、できれば低脂肪ではなく砂糖が含まれていないプレーンヨーグルトを選び、食べる量も1日に200〜300gを目安にしましょう。
(参照Mail Online「 Mothers who have low-fat yoghurt during pregnancy ‘more likely to have asthmatic children’」)

ビタミンAの過剰摂取

妊娠中にビタミンAを摂取しすぎた場合、副作用としてお腹の赤ちゃんが奇形に繋がる可能性があり、実際に数多く報告されています。
このビタミンAには2種類あり、動物性に由来する「レチノール」と植物性で緑黄色野菜に含まれている「ベータカロチン」に分類されます。
レチノールは主に動物の肝臓(レバー)などに多く含まれています。レチノールは「脂溶性ビタミン」とも言われており、水に溶け難く、油で溶けるという性質を持っていることから過剰に摂ると体内に蓄積しやすくなります。
このレチノールの過剰摂取によって体内蓄積されることで胎児の奇形を伴うことがあります。
ベータカロチンについては体内に蓄積されることはないので、ある程度摂取し過ぎたとしても問題はないと言われています。
ベータカロチンは緑黄色野菜に多く含まれているので緑黄色野菜を多く摂ることをおすすめします。

妊娠中に気をつけたい生活習慣

妊娠中に気をつけたい生活習慣になります。

アルコール

妊娠中にアルコールを飲んだ場合、生まれてくる赤ちゃんに「胎児性アルコール症候群」という障害が発生する可能性があります。
「胎児性アルコール症候群」は別名「Fetal Alcohol Syndrome」、「FAS」とも呼ばれており、日本だけではなくて世界中で妊娠中に注意すべきこととして取り上げられています。
胎児性アルコール症候群とは先天性疾患の一つで、学習障害、行動障害、発達障害などを持った子供が生まれてくる障害です。
さらに奇形となる確率も上がると言われています。

中枢神経系の異常があると、学習障害や多動になりやすいと言われています。
それだけではなく、出生前から発育不全に陥りやすく低体重が目立ち、出生後は以下の様な特徴的な顔立ちが現れます。

小頭症。鼻は低く小さくなりがちである。目が小さく、黒目しか開かない。
鼻と唇の間が長いまたは溝がなくなる。耳の位置が低く反り返りが目立つ。

胎児性アルコール症候群を起こすアルコールの摂取量は、はっきりわかっていません。
妊娠中に毎日コップ1杯の飲酒を続けていても子供に先天性疾患が表れない場合もあれば、ほんのおちょこ1杯ほどの食前酒でも胎児性アルコール症候群の症状を持った赤ちゃんが生まれたという事例もあります。
胎児性アルコール症候群は、妊娠期間中に母体が「どのくらいの量」を、「どのくらいの期間」飲み続けていたかによって、疾患の重さが変わってくると言われています。

妊娠、授乳期間に禁酒をすれば胎児性アルコール症候群になる心配は無いということは間違いありません。

タバコ

煙草には、4000種類の化学物質が含まれており、その内の200種以上が有害物質です。発がん性物質も50種以上含まれているといわれています。
煙草に含まれているニコチンや一酸化炭素には、血管を収縮し、血中の酸素濃度を低下させるという作用があります。
血管が収縮し血中酸素濃度が低下するということは、つまりお腹の赤ちゃんへの栄養や酸素が十分に送られないという事です。
子宮や胎盤の血液循環が悪くなり、子宮の収縮が起こりやすくなったり、胎盤の機能が低下します。赤ちゃんの発育を阻害し、「子宮内胎児発育遅延(IUGR)」の原因となる場合もあります。
その結果、流産や早産、前置胎盤や胎盤早期剥離などのトラブルの発生率が高くなります。妊娠中ずっと喫煙していた場合、タバコを吸わなかった人に比べ低体重児の発生率は約2・5倍、早産の発生率は約3・3倍になります。
お腹の赤ちゃんへの酸素や栄養が不足していると脳や心臓に疾患をもって生まれてくる先天性異常の起きる可能性も高くなります。
一日に煙草を吸う本数が多くなるほど、その確率は高くなるといわれています。また、妊娠中だけでなく、煙草は赤ちゃんが生まれてからも悪い影響を与えます。
産まれた赤ちゃんが受動喫煙することで、何の前触れも兆候もなく突然死してしまう「乳幼児突然死症候群(SIDS)」が起こるリスクが高まるとされています。
妊娠中に煙草を吸うと、胎児の肺が正常に形成できず、神経伝達にも欠陥が起こりやすいといわれています。
例えば、うつぶせ寝の状態で口が塞がってしまっている時、神経伝達の反応が遅れることで呼吸の異常を察知することができなくなります。
受動喫煙による乳幼児突然死症候群のリスクは非喫煙におこる場合と比較すると約4.7倍とされ、喘息や肺炎、慢性呼吸器疾患は1.4倍になるといわれています。

妊娠中にタバコを吸っていた女性の子どもについての追跡調査によると、11才の子どもの身長と学力を比較した場合、妊娠中に吸っていたタバコの本数が多くなるほど、身長と学力が低くなる傾向があるということがわかりました。

他にも多動性障害(ADHD)や言語機能の低下との関連を指摘する報告も多く挙げられています。
その原因として胎児の脳がつくられている妊娠期間中に胎児が低酸素状態になることによって脳の発育を妨げることが関係しているのではないかと考えられています。

その他、煙草が関連しているだろうといわれているものに、口唇口蓋裂、四肢短縮・欠損、泌尿生殖器系の異常、腹壁欠損などの胎児の奇形もあげられています。

カフェイン

カフェインは、流産や早産、低出生体重児の原因になると考えられています。大量にカフェインを摂ると死産のリスクが上がり、胎児の発育を阻害する可能性があるといわれています。

妊娠中にカフェインを摂ると胎盤の血流量が減少します。そして胎盤を通して胎児の身体にカフェインがそのまま入り胎児の脳に蓄積し、分解、排泄することができず発育に影響が与えるといわれています。
日本では摂取基準が決められていませんが、WHO(世界保健機構)やイギリス、カナダ、オーストリア、韓国では摂取目安量を設定しています。
1日100mg以上のカフェインを習慣的に摂っていると流産のリスクが増加するといわれています。

摂取の目安量として200mg以内に抑えることをおすすめします。コーヒー1杯に含まれているカフェインの量は100mgほどですが、その10倍近くの1000㎎(1g)を毎日摂取すると、流産や死産のリスクが上昇するという研究結果もあります。
また、市販の解熱鎮痛薬にもカフェインが多く含まれていますので、(1錠あたり40~60㎎)服用の際は医師と相談しましょう。

・飲料中のカフェイン量(1杯150mlを基準)
・ドリップコーヒー:100mg
・インスタントコーヒー:65mg
・エスプレッソコーヒー (40ml):77mg
・ノンカフェインコーヒー:1mg
・紅茶:30mg
・番茶:15mg
・せん茶:30mg
・玄米茶:15mg
・ほうじ茶:30mg
・ウーロン茶:30mg
・抹茶:48mg
・玉露:180mg
・ホットココア:50mg
・麦茶:0mg
・コーラ1杯:34mg
・板チョコレート50g:20mg
・カフェインを含む栄養ドリンク280ml:35mg
(参照 東京都福祉保健局 東京都食品安全FAQ コーヒーを飲むと胎児に影響があると聞きましたが、本当ですか? )

薬の服用について

赤ちゃんに奇形や障害が出る確率は薬などの影響がなくても自然のリスクとして常に3%はあります。
妊娠に気づかないで薬を飲んでいたとしても、多くの場合は心配するほどのことではありません。
薬局で売られている一般的な市販薬、例えば風邪薬や頭痛薬、胃薬などを用量、用法を守って数回服用するという範囲で使用されていたなら、まず問題ないでしょう。
基本的に市販薬には危険性の高い薬はありません。かといってむやみに薬を服用することはおすすめしません。
飲んでいた薬について心配がある場合は医師に相談してみると良いでしょう。

抗がん剤、リウマチ、高血圧、てんかんなどの薬の中には、奇形や障害が出るリスクの高くなるものがあります。
その薬を使用することで胎児へのリスクが高くなるとわかっていても、使わないことが母体にも胎児にとってもデメリットが大きいという場合には、妊娠中でも使われます。
持病を持っている人は、妊娠する前に、また妊娠する可能性があることを医師に相談して薬を処方してもらってください。

ストレス

妊娠すると女性ホルモのンバランスが急激に変化するため、つわりをはじめとする頭痛、肌荒れ、抜け毛や体調不良、寝不足、体重の増加などでリラックスできない、イライラする、心配、不安になるなどの気分の変動が普段よりも激しくなります。
妊娠することで家族や職場での環境の変化も重なって非常にストレスを感じやすい時期です。

日本では、妊娠中のストレスについての問題があまり積極的に扱われていませんが、海外には多くの妊娠中のストレスについてのデータがあり、妊娠中のストレスが及ぼす様々な影響が伝えられています。
実際、我が国ではこの20~30年の間に胎児の平均出生体重が約200g低下し、2500g以下で生まれる低出生体重児が増加しているという先進国では例をみない問題を抱えています。
重度のストレスは、母体だけではなく自然流産や早産、低出生体重児のリスクを増やし胎児にまで悪影響を及ぼしてしまうこともあることから、上手にストレスと付き合っていくことが大切です。
ストレスには血管収縮作用があり、子宮収縮や血流の悪化による胎児の発育不全を招くためです。
人間はストレスを感じると緊張状態になり、アドレナリンなどのホルモンを放出しながら戦闘態勢で身を守ろうとします。
このとき、血液は外敵と戦うために最も重要な心臓や脳などに優先的に送り込まれ、子宮や消化器官などの血流が減少してしまいます。
子宮に流れている血液から胎盤を通して胎児に栄養を送っていますので血流が低下すると、胎児に酸素や栄養が届きにくくなり流産を起こしたり、早産児や低出生体重児など成長が未発達の子供が生まれる確率が高まります。
また、ストレスがあるとストレスホルモンといわれるものの一つである「コルチゾール」が分泌されます。このホルモンは放出している状態が慢性的に続くと身体に悪い影響を及ぼし、胎児の胎動や心拍が減るというデータがあります。
ストレスを感じた母体がコルチゾールを沢山作りだし、そのコルチゾールが胎児の体にも循環し免疫を低下させます。
免疫が低下すると、アレルゲンに過敏になりやすくなるので喘息やアトピーなどのアレルギー疾患リスクを増大させる原因になります。
コルチゾールは本来は胎盤によって防御されており胎児に伝わらない様になっていますが、妊娠初期で胎盤機能が未熟な場合や合併症がある際など、胎盤がうまく機能していないとコルチゾールがそのまま胎児に伝わることがあります。
胎児の体内でコルチゾールが増えると神経系の発達にも影響するもいわれ、生まれてからのひどい夜泣きや寝付きの悪さなどの精神不安定や軽度の「発達遅延」や「注意欠陥障害」、「運動障害」などもみられることもあります。将来うつ病などにもなりやすいとの報告があります。

妊娠中にストレスを感じる原因は様々ですが、一人で抱え込まないことが大切です。
旦那さんやご友人、ご両親など、信頼できる人に自分の不快な状況や不安定な気持ちを打ち明けるだけでもストレスを軽減することができるかもしれません。
適度な運動は自律神経を整え、心身共にストレスの軽減する効果があります。
安定期に入ったらマタニティヨガやウォーキング、マタニティスイミングなどで気分転換をするのも良いでしょう。
仕事がストレスになっている場合は、出勤時間を遅らせてもらうことや配置転換を職場の方に相談してみることをおすすめします。体調によっては早めに産休をとることや退職することも検討しましょう。
まずは、重いストレスになっていることは出来るだけ省き、妊娠中のストレスを軽減していきましょう。

運動で気をつけること

健康で妊娠経過が順調であれば、妊婦さんが適度に運動することは何の問題もありませんが体調の良くない日やお腹の張りや出血、痛みのある時に無理して運動をする必要はありません。
医師から安静の指示を受けている場合は運動を行わない様にしましょう。

基本的に妊娠初期の運動で流産することはなく、この時期に流産が起こる原因は胎児側の染色体異常が主な原因と言われていますが、まだ胎盤が完成しておらず、流産しやすいといわれる時期ですので運動不足の解消や気分転換も兼ねた軽い散歩程度がおすすめです。
運動を始めるのに最適なのは安定期に入る妊娠中期以降です。つわりの時期が過ぎる頃から食欲も旺盛になりますので、すぐに体重が増えてしまいます。太りすぎると妊娠高血圧症候群などになりやすいだけでなく産道にも脂肪がついて難産の原因や妊娠線が出やすい、産後に体重が戻り難くなります。適度に運動を行うことで体重をコントロールし、かつ出産に向けての体力づくりを行うことが大切です。
散歩よりも運動としての強度が高いウォーキングは医師や助産師から安静の指示がない正常経過であれば妊娠五ヶ月(16週~)頃から分娩前まで行うことができますが、健診の際に医師にウォーキングを行っても大丈夫かどうか確認することをおすすめします。
マタニティスイミングやマタニティヨガ、マタニティビクスについては原則として妊娠5ヶ月頃から始めることができますが、必ず医師の許可を得ることが必要です。
もともと運動習慣のある方で妊娠中でも行っていたスポーツをしたいという場合も、やはり医師に相談しましょう。
激しく動くスポーツや集団で行って途中で抜けられない運動(バレーボールやバスケットボールなど)やマラソンやゴルフ、スキーなど急に出血や腹痛が起こってもすぐに対応できないスポーツについては妊娠期間中では避けることが望ましいです。

お風呂で気をつけること

子宮は熱による影響を受けやすい器官です。
温め過ぎると血流が急激に増えて子宮の収縮が激しくなります。そうなると流産や早産のリスクが高まるので、特に妊娠初期の長風呂は危険であるともいえます。
妊娠中は身体の代謝が変化し、血液の量が増えるためにのぼせやすくもなっていますので入浴にかかる時間や湯や浴室の温度などに気をつけることが大切です。
入浴中に急に体調が悪くなったり、貧血も起こりやすい時期です。出産の時期が近くなると破水、陣痛が起こる可能性があります。
つわりがひどい方では長時間入浴することで吐き気や嘔吐を誘発しますので注意しましょう。
ゆっくりと長い時間湯船に浸かるとのぼせてふらついてしまうことも多くなりますので、湯に浸かる時間はおおよそ10分程度、お湯の温度は37~38度位が望ましいです。
浴室は湯気で温めておくと良いでしょう。
妊娠中期から後期にかけては、お腹が大きくなるため、身体のバランスも変わり足元がよく見えなくなります。
浴室は石鹸やシャンプー、ボディソープで滑りやすい危険な場所でもあります。
お風呂や脱衣所の床に余計なものを置かない様に心掛け転ばない様に充分気を付けましょう。
妊娠中の入浴はいろいろと危険が伴いますのでお風呂は、できるだけ家族がいるときに入浴することや何かが起こった際にすぐに家族や医療機関に連絡できる様に、携帯電話を手の届く範囲に置いておくことをおすすめします。
入浴は「身体を清潔にする」ことの他に、血流を促進し身体を温めて肩こりや腰痛を緩和し、冷えを解消したり、お湯に浸かることでリラックスできるなど、プラスの面も沢山あります。
上記のことに注意して入浴すること、入浴の前後には水分補給を必ず行うことを心掛けてください。

温泉は入ってもいいの?

1982年頃に制定された温泉入浴の基準では「妊娠中(特に初期と末期)」は禁忌症とされて妊婦さんの入浴は推奨されていませんでした。
最近になってそれは医学的に根拠のない基準であることがわかり、2014年から環境省によって「妊娠中の入浴」が禁忌項目から削除されました。
妊娠中は皮膚が敏感になっており妊娠性痒疹や湿疹ができやすくなりますので、刺激の強い硫黄泉や濃い食塩泉、ラジウム泉などは避けたほうが無難であり、妊婦さんには刺激の少ない「単純温泉」の温泉がおすすめです。
循環式のお風呂は衛生状態が悪い施設もあり、細菌感染が心配ですので免疫力が低下している妊婦さんはかけ流しの温泉を選んで行くと良いでしょう。
温泉は足元が滑りやすく、段差などがあって足場が悪い造りのところも多いので転倒には充分注意してください。

海水浴やプールは大丈夫?

海やプールは雑菌も多く決して衛生的な場所ではありません。
免疫力が低下している妊婦さんにとっては感染症が心配です。大勢の人に紛れて海やプールに入ると、他の人と体がぶつかり、押されて転倒する危険があります。
また、プールの床や階段などは水で滑りやすいので、転んでお腹や腰を打つことも考えられます。
妊婦さんがプールや海に入るのは、医師の許可を取ってからにしましょう。
特に妊娠初期は急な出血や腹痛が起こる不安定な時期なので、プールや海水浴は控えるようにしてください。

旅行で気をつけること

旅行は長く乗り物に乗ることや歩くことが多く、身体に負担がかかります。
基本的に妊娠中の旅行は出血や腹痛のリスクが高くなるため、なるべく避けた方が無難です。
旅行中に出血や腹痛が起こると、対処できる医療機関が周辺にない場合もあり、処置までに時間が掛かって取り返しのつかない事態になってしまうことがあります。
妊娠中に旅行を計画する場合は、自己判断は避け、必ず通院先の医師に相談しましょう。
特に妊娠初期は流産の危険性があり、最も旅行は避けたい時期です。加えていつお産が始まってもおかしくない妊娠後期の10カ月(36週)頃も避けた方が良いでしょう。
もし、旅行をするのであれば安定期と言われる妊娠16週以降(5〜7カ月)で、経過が順調であれば可能ということになります。
常に「何かトラブルがあるかもしれない」ということを考慮し、単独ではなく同行者を伴うことが望ましいです。
旅行のスケジュールはツアー旅行の様に短時間で次々と回ることはせず、体調を優先してゆとりを持ち、こまめに休憩をとることが大切です。
車や交通機関での移動はできるだけ短時間になる様に計画しましょう。
乗り物の振動が子宮収縮の誘因となる可能性があることや長時間座ったままでいると、妊婦さんの場合はエコノミー症候群(静脈血栓症)になるリスクが通常時に比べて6倍も高くなるためお勧めできません。
どうしても長時間乗るという場合は、ずっと座ったままで過ごさずに定期的に立ち上がって歩き、エコノミー症候群になることを防ぎましょう。
もし、旅行中に出血などの急なトラブルに見舞われた場合は、まずは妊娠経過を熟知している主治医に連絡して適切な指示を仰ぐようにしましょう。
場合によっては旅行を中止することも重要です。
旅行先の途中経路や事前に宿泊先の近くにある産婦人科や、救急病院の場所を調べておくことや、母子健康手帳と健康保険証、携帯電話は必ず携帯しておきましょう。
入院することになった時のことも考えて充分な現金、またはクレジットカードなど用意しておくことを心がけてください。

仕事で気をつけること

妊娠初期には、つわりなど体調を崩しやすくなります。
通勤中や職場で具合が悪くなることも増え、職場や周りの人たちに理解や協力を得なければならない場面も増えていきます。
職場の人の理解を得るためにも、できるだけ早い時期に上司に妊娠の報告をするようにしましょう。
目安としては、初期流産の可能性が少なくなる妊娠10週前後の時期が理想的です。
その際には出産予定日や産休、育休についての希望を伝え、具体的に妊娠中や出産後の仕事についてどのように考えているのか上司に伝えられると良いでしょう。
長時間の立ち仕事や重い物を持つ様な肉体労働、長時間勤務や煙草の煙が多い室内での仕事、寒冷の屋外での仕事や夜勤など、こうした極度に身体に負担がかかる職場の場合は配置転換をお願いしてみましょう。
従業員が妊娠している場合、その従業員が軽易業務への転換希望する時は会社側がその希望を受け入れることは労働基準法でも定められています。
強く言いにくい場合は医師に仕事内容について相談し、職場に提出する診断書を書いてもらうと良いでしょう。
母子手帳にある「母性健康管理指導事項連絡カード」は医師が診察した妊産婦の状態を事業主へ明確に伝えるための用紙ですので、これらを利用して職場に理解してもらうこともひとつの方法です。
通勤の際はバスや電車、自家用車の臭いで気分が悪くなるケースもよくあります。
満員電車などでお腹を押されることもあると、「お腹の赤ちゃんに影響があるのではないか」と心配になることも出てくると思います。
妊娠中に通勤緩和制度を利用できる会社もあるので、出勤時間をずらすことが可能かどうか上司に相談してみることをおすすめします。
それが難しい様であれば、通常に利用するより数本早い電車やバスに乗るなど混み合う時間帯を避けてみましょう。
出血や腹痛がある時は仕事中であってもすぐに受診するか、電話でかかりつけの病院に相談しましょう。
仕事内容があまりに過酷で強いストレスがある、もしくは切迫流産の可能性があり医師から安静を指示された時は仕事を控えましょう。
仕事を行うことで妊娠中に妊娠の維持が危ぶまれる事態が起きたり、配置転換などを申し入れても職場の理解が得られないという場合は、退職や休職することも考慮しましょう。
通勤中だけでなく勤務中も転倒には充分気をつけなければなりません。ヒールのついた靴はしばらくお休みして、歩きやすく滑らない靴を選ぶことをおすすめします。

夫婦生活で気をつけること

妊娠すると妊娠前のように物事がスムーズに進まないことも増えてきます。
つわりや体調不良で家事ができない、お腹が大きくなることで歩き難くなる、などの体調や体系の変化に加えてホルモンバランスが変わることで眠気やだるさも常にあります。
精神的に不安定になることもあります。
これから母親になる不安や心配と出産に対する不安と未知の陣痛の痛みへの恐れ・・・など色々な事を抱えた状態になっています。
多くの妊婦さんが夫に求めていることは「まずは私の話をじっくり聞いて欲しい、赤ちゃんを迎えるにあたっていろいろ話し合いたい」ということです。
夫側の多くの場合は妻が妊娠したことについてピンとこない、素直に受け止められないことが多い様です。
妻は妊娠したことでの身体の変化やお腹の赤ちゃんの胎動を直に感じることで、親としての自覚を持つことができるのですが、それに対して夫は自分の身体が変化するわけではないので分かりにくく、赤ちゃんを迎えるという事について実感できない方が多い様です。
妊娠中の妻の気持ちと夫の気持ちには、かなり温度差があります。妊娠中は女性も大変ですが、夫婦関係も大切な時期です。
妊娠している妻の身体や気持ちの変化を受け止められるように、夫にも妊娠中の体調の変化について知っておいてもらいましょう。
そして、赤ちゃんを迎えて育てていく実感を持ってもらうために、両親学級などを積極的に活用すると良いでしょう。
両親学級に出席している夫達からの声でよく聞かれるのが、「妻を支えたいと思うけれど何をしたらいいかわからない」という意見だそうです。
妻から話を聞くよりも専門家にアドバイスされたり、同じ立場の夫同士で話したりすることで自覚が芽生えるということもある様です。

身体が辛い時にそれを夫に伝え、いつもよりスキンシップを大切にするなど、コミュニケーションも必要です。
妊娠中は、お腹の赤ちゃんが大切なのはもちろんですが、必要以上に神経質になって夫婦生活が疎かになることもあります。
身体が辛い時は母体をいたわることが大切ですが妊娠中に夫婦生活がなくなり二人の仲が悪くなると、育児にも影響してしまいます。

一般的に妊娠初期はホルモンの影響やつわりなどの様々な理由で性欲は減退気味になり、パートナーの匂いさえ受けつけられないという場合もあります。
妊娠中期になり、つわりなどがおさまって安定期を迎えると、性器や乳房に循環する血液量が増える生理的変化もあり、妊娠初期に比べて性欲が増してくるかもしれません。

妊娠経過が順調で、医師から性生活についての注意など何も言われていない場合は、妊娠中のセックスは安全と考えていいでしょう。
妊娠初期の流産の多い時期(妊娠11週くらいまで)を過ぎれば、通常のセックスをすることはまず問題はありません。
精液中には子宮を収縮させるプロスタグランジンなどの子宮の頚管を柔らかくする物質が含まれていますが、妊娠経過が順調であれば腟内射精をしたからといって早産のリスクが高まる根拠はありません。
しかし、妊婦さんに腟炎や子宮内感染、切迫流早産の徴候がある場合はもちろん避妊具が必要ですし、男性器についていた雑菌が胎児を包んでいる羊膜に感染して早産や流産を引き起こすというケースもある様ですので気になる場合は避妊具を利用しましょう。

妊娠後期になると、お腹がさらに大きくなり腰痛や背部痛なども起きやすくなります。
さらに頻繁な子宮の収縮や出産への意識が高くなるなどの理由で性欲は再び低下する傾向があります。
この時期は夫側もお腹の赤ちゃんへの影響が気になることや、変化していく妻の身体への戸惑いを感じて、妻の変化を受け入れられないことの失望感があるなど、セックスを楽しめなくなる夫婦も少なくありません。そうしたことでセックスができない場合は、性的なこと以外でのスキンシップやコミュニケーションを図ることが重要です。
この妊娠後期はちょっとしたことでもお腹が張りやすいのですが、セックスによる子宮頸部の刺激によって子宮は収縮しやすくなり、お腹が張ることが多くなります。
主治医からの注意を受けていない場合は特に問題はありません。
お腹が大きくなっているので後背位や女性上位など体位を工夫することも必要ですが、妊婦さんが負担にならず心地よければ、それで良いでしょう。

以下の様な状況の時にはセックスを控える様にしましょう。

・切迫流産または早産気味でお腹の張りがある
・不正出血がある
・子宮頚管が短くなってきていると診断された場合
・前置胎盤、または胎盤の位置が低い低置胎盤
・破水をしている時
・医師から安静を指示されている

などが起きている場合は主治医の指示を守ってください。

妊娠初期に摂取したい葉酸の効果とメリット

それでは妊娠初期に摂取したい葉酸の効果やメリットについて解説します。

貧血の予防

妊娠すると母体の栄養だけでなく、お腹の赤ちゃんにも栄養や酸素をたくさん送るので血液の量は増加しますが、血液中の栄養成分は不足してしまうので貧血になりがちです。
貧血とは鉄分が不足することで起こる「鉄欠乏性貧血」と思いがちですが、実は貧血は鉄の不足だけではなく葉酸やビタミンB12が足りない場合でも起きます。

~巨赤芽球性貧血~

葉酸が不足していると全身の細胞組織はもちろんのこと、特に細胞分裂の盛んな骨髄細胞や胎児期の発育、消化管の粘膜や血球の細胞が分裂して増加を繰り返す器官では大きな影響が起こります。
葉酸は主にDNAの合成を行うという大切な役割を持っており、不足するとDNAの合成障害を起こし、正常な細胞を作ることができなくなります。
巨赤芽球性貧血の予防には、葉酸とビタミンB12 の両方が必要なのです。
主となる葉酸はDNAの合成に関わっており、ビタミンB12はこの葉酸を効率よく働かせるための後押しの役割をします。
このDNAの合成障害が起こると細胞が巨大化する傾向がある様です。
それは通常の細胞ではあまりみられませんが、特に細胞分裂が盛んな組織でよく見られます。
骨髄で赤血球をはじめとする血球が作られているのですが、葉酸が不足していると核が未熟なのに大きくてすぐに壊れてしまう細胞ばかりが作られてしまいます。
これでは赤血球として正常に酸素や栄養を全身に運ぶことができない為に貧血になります。
これを「巨赤芽球性貧血」と言います。
身体は貧血の危険を察知して血球を沢山作る様に指示しますが、葉酸が充分に補われるまでは大きくてすぐに壊れてしまう血球ばかりを作ってしまいます。
これを「無効造血」と言います。
葉酸という栄養素は貯めておくことができないので、体内で必要量を確保すると不要な分は排泄されてしまうので毎日補給しなければなりません。
葉酸の欠乏は、妊娠や授乳で需要が多くなることやアルコール依存症(中毒)や野菜類をほとんど食べない偏食などによって起こり、また、一部の薬剤によっても葉酸の吸収が阻害されます。
ビタミンB12は魚介類、レバー、海苔など比較的普段から食べている食品に含まれているので厳密な菜食主義の食事を続けている場合や食事をきちんと摂らない過度の偏食、また極端なダイエットなどをしなければ通常の食事で少しずつ身体に入ってくるので、まず不足するということは少ない栄養素です。
ビタミンB12は胃の中の内因子が存在することで、身体の中に取り込むことができます。
通常、ビタミンB12は食べ物から胃に入り、胃の中の内因子によって小腸で吸収し全身の組織に染み込む様に充満して、肝臓にその貯蔵されます。肝臓にはおよそ5㎎のビタミンB12が貯えられています。
この貯蔵する機能があるので、例えば胃を全部切除してビタミンB12が内因子から吸収することができなくなっていても、貯蔵分のビタミンB12が無くなるまでは欠乏症状が出ないということが特徴です。
私たちが1日に必要なビタミンB12の量は1µgといわれており、単純計算では13年でビタミンB12の蓄えが枯渇する事になりますが、実際にはもっと早く、胃を切除してから5年くらいでビタミンB12の蓄えが枯渇してしまいます。
貯えていたビタミンB12が無くなった場合は、葉酸をどんなにたくさん摂ってもビタミンB12が無いので正常な赤血球が作ることができず、貧血を改善することができません。この内因子がうまく働かない、または無いことでビタミンB12が不足して起こる巨赤芽球性貧血を「悪性貧血」とも言います。
胃を切除した人やもともと内因子を持たない人に加え、胃の消化機能が低下している場合もB12の欠乏を起こしやすくなります。B12を好物とする細菌や寄生虫がいる場合も不足します。
葉酸のサプリメント(合成葉酸)をたくさん摂ると、ビタミンB12が欠乏していても巨赤芽球性貧血の症状を抑えてしまう為に、ビタミンB12の欠乏症が深刻になってから発見されやすいのです。
これを防ぐ為に葉酸を1日に1000μg(1g)以上は摂取しない様にすることを呼びかけられています。

ダウン症の予防

日本では女性の晩婚化に伴う高齢出産が多くなったことや、食生活の変化によってダウン症の赤ちゃんの出産率が欧米諸国よりも増加しているといわれています。
ダウン症は発達異常の中でも「染色体異常」のひとつです。胎児がお腹の中で成長発達している際に細胞をつくる染色体が突然変異を起こしたもので、ダウン症は21番染色体の2本組となっている染色体が3本の染色体に突然変異すること(トリソミー)を起こすことによって発症します。
21番染色体を含む常染色体は生命活動に必須な遺伝子の情報が含まれます。
21番以外の常染色体がトリソミーとなった場合は通常、生命活動を存続することはできません。
これに由来してダウン症は別名「21トリソミー」とも呼ばれています。ダウン症の胎児の80%は流産や死産に終わり、出生することが出来るのはほんの20%に過ぎません。
母体が35歳以上の高齢での妊娠でダウン症や染色体異常がおきる可能性が高まるといわれています。
主に卵子の老化が原因で異常が出ると言われることが多く25歳未満での発生頻度は1/2000なのに対し、35歳になると1/300、40歳で1/100の確率で年齢が高くなるほど自然妊娠の確率は低くなるのに対し、ダウン症の赤ちゃんを出生するリスクが高くなっていきます。
もちろん、男性の精子も加齢によって染色体異常が起きている場合があります。男性の場合は40歳で「高齢」となります。
「妊娠初期に葉酸を摂ることで胎児の細胞分裂が正常に行われるようになる為、葉酸がダウン症を防ぐ可能性がある」という論文が掲載されて以来、葉酸の効果が注目を浴びています。
妊娠初期だけでなく、男性、女性ともに妊娠する以前から葉酸を充分摂ることで正常な卵子や精子の細胞を作っていくことがダウン症などの赤ちゃんの発達異常を防ぐために重要です。

流産や早産のリスクを下げる

「妊娠する1年前から葉酸を摂っていると赤ちゃんを早産するリスクが低くなる」
流産の原因の約70%は受精卵の染色体に異常が起こったためです。葉酸は細胞のDNAを正常に作る働きがあるので、妊娠してから摂るよりも妊娠以前から葉酸を摂って全身の細胞組織が正常に作っていくことが重要です。
妊娠継続に適した子宮内膜が作られ、胎児の細胞分裂も正常に行われることで奇形や発達異常を防いでくれるので流産や早産になり難くなります。
少なくとも1年間、葉酸を摂ることで妊娠20~28週での早産を70%、28~32週の早産を最大で50%も減らすことができるという報告があります。
早産や流産は子宮筋腫や子宮の奇形や糖尿病や高血圧等の疾患に関連するものもありますが、過労やストレス、身体の冷えに関するものは葉酸等の栄養素の摂取を充実させればある程度防ぐことができるケースもあります。
葉酸は神経の伝達物質であるドーパミンやセロトニンの生合成にも関与しているので自律神経の乱れを改善することを助けます。
葉酸は身体の血行を改善してリラックスさせ、ストレスからの負担を軽くしてくれる効果があります。

つわりの軽減

現在もつわりの原因は充分に解明されていません。
妊娠の際、エストロゲンやプロゲステロン、hcg(ヒト絨毛ゴナドトロピン)などの女性ホルモンが大量に増加することで起こる場合とビタミンB6、葉酸が不足して起こる場合、そして精神的な要因が関連している場合と大まかに分けて3つの要因があるのではないかと考えられています。
妊娠中は胎児の活発な細胞分裂を支えるために、大量の葉酸やその他のビタミン・ミネラルが必要になります。
特に葉酸やビタミンB6が不足することで気持ち悪くなったり、嘔吐してしまうのではないかといわれています。葉酸を摂ることで自律神経の乱れが改善されたり、心理的な不安が消えることでつわりが軽減されるともいわれていますが、現状では葉酸によるつわり軽減効果についてはっきりとしていない部分があり、個人によって効果の有無がわかれる様です。
つわりによって食事が摂れなくなり、必要な栄養素が摂れないことで余計に状態を悪化させてしまうという悪循環にならない為に、妊娠前から葉酸だけではなくつわりに効果のあるといわれるビタミンB6も摂る習慣を付けましょう。
葉酸のサプリメントの中にはビタミンB6が含まれているものもありますので、そういうものを選んでおくのも良いと思います。
嘔吐がひどく、水も飲めない場合は栄養の不足だけでなく脱水症状も起こしている可能性があります。妊婦さん本人はもちろん、お腹の赤ちゃんにとっても危険ですのですぐに病院に行くことをおすすめします。

葉酸欠乏症

最も一般的な葉酸の欠乏の原因は、野菜や果物類を十分に食べないなどの葉酸が不十分な食事摂取、アルコール依存症(中毒)によって起きているといわれています。
葉酸を身体で貯めておくことはほぼできない為、そうした食事を続けていると数カ月で葉酸欠乏症になります。
葉酸が不足すると初期症状として肌荒れや疲労感を感じ、口内炎や胃腸で潰瘍を起こすことがあります。
葉酸欠乏症が重度になると巨赤芽球性貧血になり、一般的な貧血の症状である立ちくらみや息切れ、めまいなどに加えて、ハンター舌炎といわれる舌の異常(舌が赤くなる、表面がツルツルになる、痛みや味覚低下)が見られます。
また、葉酸が不足すると体内でホモシステインというアミノ酸が代謝できずに増加してしまい、動脈硬化症になるリスクが高くなります。
妊娠している女性の場合、葉酸が欠乏すると胎児の発達障害として口唇・口蓋裂(唇の形を正常に作られない)をはじめとする奇形や神経管閉鎖障害などが起きることがあります。

※葉酸は様々な代謝経路を経て、活性型の葉酸に変わることによって体内で使えるのですが、これには酵素が必要です。
この酵素を持っていない場合、葉酸が体内で働く形にならない為、どんなに葉酸の多い食事をしてもサプリメントを摂っていても欠乏していることになります。
これをメチルテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)の欠損といいます。この酵素はホモシステインというアミノ酸をメチオニンというアミノ酸に変換する時に使われます。
この酵素が欠損していて葉酸が使えないと体内でホモシステインが増加して動脈硬化になるリスクを高くし、赤ちゃんの神経管閉鎖障害やダウン症、自閉症などの発達異常を作る原因になるともいわれています。

葉酸を食べ物だけでは必要量摂取できない理由

残念ながら葉酸は食べ物だけでは妊婦の必要量を摂取することができません。
その理由を解説します。

妊娠初期に必要な葉酸の摂取量

平成26年の国民健康・栄養調査によると、男女とも葉酸の摂取量は推奨量を満たしているとされてます。
葉酸摂取量 男性平均293μg/日、女性平均276μg/日
この数値はあくまでも全年代での平均値です。それぞれの年代によっても摂取量は違っています。
緑黄色野菜や大豆などを食事から多く摂っている時代は葉酸が不足することがなかったのに対し、近年の食生活の欧米化やファーストフードの普及に加え、若い女性の体重や体系を過度に気にすることでの極端な食事制限を伴うダイエットなどで慢性的に葉酸不足となっていることが大きな問題となっています。
妊娠・授乳中の女性では赤ちゃんが成長発達するために葉酸をはじめとする栄養素全体の需要が増えることで不足しやすくなりますし、慢性のアルコール依存症(中毒)や痛み止めのアスピリンや避妊薬のピルを服用している人など、特定の薬剤によっても葉酸の吸収が阻害される為にさらに葉酸は不足しやすくなります。
食品中の葉酸については保存中の酸化によって減少し、調理中も加熱することで流出してしまう為、体内利用効率は50%程度と見積もられています。
そこで厚生労働省は「当面の間、食品からの葉酸摂取に加えて、いわゆる栄養補助食品から1日0.4mgの葉酸を摂取すること」として葉酸としての体内利用効率が85%程度と高い合成葉酸であるプテロイルモノグルタミン酸をサプリメントで摂ることを推奨しています。
「妊娠1か月以上前から妊娠3か月までの間、サプリメント等で葉酸を0.4mg(400μg)摂取する」
「1日に食事から天然葉酸を480μg摂ることに加えて、葉酸サプリメント0.4mg(400μg)を摂る」ということになります。
(参照 厚生労働省 平成26年の国民健康・栄養調査日本人の食事摂取基準2015年版

葉酸は加熱に弱い

葉酸は水溶性ビタミンでビタミンB群に属します。
体内で貯めておくことができないので毎日食事から摂ることが必要です。
天然葉酸は緑黄色野菜、果物、また動物の肝臓などの食品に多く含まれています。
天然葉酸の特徴は加熱や光に弱く、調理中に50%近くが加熱によって分解するか、ゆで汁に溶け出してしまうので、その効力が失われやすいという性質があります。
長く保存すると酸化によって葉酸の量が減少してしまう為、新鮮な状態をそのまま生で食べる、煮物やスープなどに調理して、葉酸が溶け出した汁も一緒に食べられる様な料理がおすすめです。

葉酸は生体利用率が低い

食品中の天然葉酸であるプテロイルポリグルタミン酸は消化管の酵素によって消化され、モノグルタミン酸になった後に小腸の上皮細胞から吸収されます。
それ以降、体内で使われる形の葉酸になるまでには、さらに様々な代謝形態が必要なので生体利用率が低下します。
生体利用率は25~81%と食材によって異なりますが、おおよそで生体利用率は約50%程度とされています。

葉酸はサプリメントをおすすめする理由

~厚生労働省がサプリメントで摂取することを推奨しています~

妊娠を計画している女性に対して神経管閉鎖障害の発症リスクを低減させるために、妊娠1か月以上前から妊娠3か月までの間、葉酸をはじめその他のビタミンなどを多く含む栄養のバランスのとれた食事が必要である。

野菜の摂取を350g程度にする等、適正な食品摂取量を確保すれば1日0.4mgの葉酸の摂取が可能であるが、現状では食事由来の葉酸の利用効率が確定されていないことや各個人の食生活によっては0.4mgの葉酸摂取を確保するのが困難なことが予測される。

米国等の報告では神経管閉鎖障害の発症リスク低減に関して、食事からの摂取に加えて0.4mgの栄養補助食品からの葉酸摂取が勧告されており、通常の葉酸摂取量に加えて栄養補助食品(サプリメント等)から1日0.4mgの葉酸を摂取すれば、神経管閉鎖障害の発症リスクが低減することが期待される。

我が国において、当面、通常の葉酸摂取量に加えて、いわゆる栄養補助食品から1日0.4mgの葉酸を摂取することとすれば、神経管閉鎖障害の発症リスクは集団としてみた場合そのリスクが低減されることが期待されるものである旨、情報提供を行うこと。

高用量の葉酸摂取はビタミンB12欠乏の診断を困難にするので、医師の管理下にある場合を除き、葉酸摂取量は1日当たり1mg(1000μg)を越えるべきではない。
(出典 神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について 平成12年12月28日 )

さいごに

今回は妊娠初期に気をつけることということで解説しました。
ここまで読んで頂けたあなたなら葉酸の重要性が伝わったかと思います。
葉酸サプリ自体はそれなりに金銭的負担が出ます。
しかし、元気な赤ちゃんを授かるには必須の成分になります。
出産した時に「葉酸を飲んでおけばよかった…」と後悔しないためにも一日でも早く摂取しましょう。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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